Field Study in South Africa(南アフリカでのフィールド・スタディ)
9月9日(月)から18日(水)にかけて、米川先生と林先生の引率による南アフリカでのField Studyが実施されました。
本科目の目的は、アパルトヘイトの歴史(1948-1994)、人種差別と外国人嫌い(ゼノフォビア)、および人種差別との闘いにおけるグローバル運動について学ぶこと。
事前研修ではアパルトヘイト、ネルソン・マンデラ氏らの背景、南ア在住の難民・移民が直面している問題、「名誉白人」と呼ばれた日本人、ゼノフォビア、そして安全対策に関して学び、さらに映画「サラフィナ」を鑑賞してディスカッションを行いました。
受講生5名全員、アフリカの地を踏むのは今回が初めて。関西空港では少々緊張気味でしたが、最初の目的地であるケープタウンに到着してから気分が急に高揚しました。同市のシンボルであり、世界自然七不思議の一つと言われるテーブル・マウンテン、高層ビルが建ち並び発展した港町、広大な山と海に囲まれた美しい風景に惹かれたためです。
しかし、ケープタウンの美しさとは裏腹にさまざまな負の遺産があることがわかると、学生の表情は硬めに。マンデラ氏らアパルトヘイト政策の廃止を求めた政治犯が多数収容されたロベン島、アパルトヘイト時代に非白人住民が強制移住させられたり、黒人住民が移動許可書を強要された過去を展示している博物館、タウンシップ(アパルトヘイト時代の黒人専用居住区)、奴隷博物館などを回って、同市の明暗を痛感したのです。
経済都市ヨハネスブルグに移動して、南アフリカ最大のタウンシップであるソウェトに宿泊。アパルトヘイト博物館で、さらにアパルトヘイト時代の黒人の苦悩やマンデラ氏の功績などを学びました。ソウェトでは、映画「サラフィナ」が撮影された学校、1976年に「ソウェト蜂起」で殺害された中学生のヘクター・ピーターソンの記念碑などを回りながら、写真家で反アパルトヘイト運動に関わったヴィクター・マトム氏から、「名誉白人」も含めて当時の様子を聞きました。
最終日には難民支援団体の施設を訪問し、難民の子どもに折り紙を教える一方で、難民から、難民法律が改善されながらも、差別を受けて生活が困窮している実態も耳にしました。
全体を通して、学生は「百聞は一見に如かず」の重要性を痛感しました。直接、反アパルトヘイトに関わった当事者らから話を聞き、難民らと肌で触れ合うことで、「アパルトヘイトも名誉白人も本で読んで知っていたが、本当に起きたと実感できた」「難民は認定されて終わりではない。その後の長い生活があり、それがField Studyで少しは見えた」とのこと。南アの人々の問題意識の高さに刺激を受け、学生はさらに学習意欲が高まったようです。